2009-03-10 砂時計 風の強い満月の日 私たちは用水路沿いをだらだらと歩く。 水に走る月の光のすじ 「北斗七星はどこにある?」「オリオンはすぐ見つかるんだけどな」「俺はカタカナ名前は嫌いだ」 風に声が飛ばされるから、自然、距離が近くなる。「じゃあオリオンはなんて名前をつけるの?」「そうだな――」 もうすぐ大通りに出る 声の小さい私の声はきっと届かないだろう。 「春を待つ星座みたいで、ぴったりだね」 前を向いていた君が、こちらを向いて笑う。 してやったりといった表情につられて、笑う。