砂時計

風の強い満月の日



私たちは用水路沿いをだらだらと歩く。


水に走る月の光のすじ


「北斗七星はどこにある?」

「オリオンはすぐ見つかるんだけどな」

「俺はカタカナ名前は嫌いだ」


風に声が飛ばされるから、自然、距離が近くなる。

「じゃあオリオンはなんて名前をつけるの?」

「そうだな――」


もうすぐ大通りに出る
声の小さい私の声はきっと届かないだろう。


「春を待つ星座みたいで、ぴったりだね」


前を向いていた君が、こちらを向いて笑う。
してやったりといった表情につられて、笑う。